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お酒を楽しむ 2026.07.07

日本酒の代表的な受賞コンクール ― Kura Master・IWC・全国新酒鑑評会・SAKE COMPETITIONを解説【用語解説・日本酒編】

日本酒のラベルで見かける「金賞」「プラチナ賞」「部門第1位」といった受賞表示。Kura Master・IWC・全国新酒鑑評会・SAKE COMPETITIONは、日本酒の代表的な受賞コンクールです。開催地も、審査のしかたも、賞の呼び名や序列もそれぞれ違います。各コンクールの特徴と賞の序列、代表的な受賞酒を紹介します。

日本酒のボトルに貼られた「金賞受賞」「プラチナ賞」といった表示。その多くは、国内外で開かれる品評会(コンクール)で与えられた評価です。ここでは、日本酒の代表的な受賞コンクールとして、Kura Master・IWC・全国新酒鑑評会・SAKE COMPETITIONの4つを取り上げます。

同じ「賞」でも、この4つはそれぞれ性格の違うコンクールです。海外のプロが料理と合わせて選ぶものもあれば、国内で造りの技術を評価するもの、市販酒を利き分けるものもあります。金賞やプラチナ賞、チャンピオン・サケ、部門第1位――こうした言葉がどのコンクールの、どの段階の賞を指すのかを、ひとつずつ整理していきます。

Kura Master(クラマスター)とは

Kura Masterは、フランス・パリで開かれる日本酒と本格焼酎のコンクールです。主催はAssociation de Kura Master。2017年に「フランス人によるフランス人のための和酒のコンクール」として始まりました。審査員を務めるのは、フランスやヨーロッパで活躍するソムリエやレストラン関係者といった、酒の売り手・出し手のプロたちです。MOF(フランス国家最優秀職人章)保持者や、ミシュランの星付きレストランに関わる人も加わります。

審査は、ラベルを伏せたブラインドで行われます。出品酒はすべて銘柄を隠した状態でワイングラスに注がれ、料理と合わせて楽しむ視点から一本一本が利き分けられます。採点は100点満点の加点方式で、賞は点数によって二段階に分かれます。

  • 金賞(ゴールド):80〜92点
  • プラチナ賞:93〜100点

プラチナ賞のほうが上位です。さらにその上に、部門ごと・全体それぞれの頂点を選ぶ賞があります。

  • 審査員賞:各部門で、プラチナ賞に選ばれた酒のなかから1点だけ選ばれる、部門トップの賞。
  • プレジデント賞:全部門の審査員賞のなかから、審査委員長が選ぶただ1点。その回の全体最高位にあたります。

つまり序列は、金賞 → プラチナ賞 → 審査員賞(部門トップ) → プレジデント賞(全体最高位)という順に高くなります。日本酒は精米歩合や造りによっていくつもの部門に分かれており、純米酒部門、純米大吟醸酒部門、伝統的な酒母づくりを競うクラシック酛部門、スパークリング部門などがあります。2026年はちょうど10回目の節目の回で、日本酒の審査は4月27日にパリのパヴィヨン・ルドワイヤンで行われ、結果は5月11日に発表されました。

代表的な受賞酒

評価の高い順(全体最高位 → 部門トップ → 上位メダル)に並べています。

賞(ランク・部門)銘柄蔵元(産地)受賞年
プレジデント賞(全体最高位)雁木 純米大吟醸 鶺鴒八百新酒造(山口)2025
プレジデント賞(全体最高位)超特撰白雪 伊丹諸白 大吟醸小西酒造(兵庫)2024
審査員賞(純米大吟醸酒部門1位)千福 山田錦 純米大吟醸35三宅本店(広島)2026
審査員賞(スパークリング部門1位)七賢 星ノ輝 スパークリング山梨銘醸(山梨)2026
プラチナ賞(純米酒部門)伯楽星 純米吟醸 冷卸新澤醸造店(宮城)2026
プラチナ賞(純米大吟醸酒部門)わかむすめ 燕子花新谷酒造(山口)2024
金賞(クラシック酛部門)高砂 山廃純米大吟醸 愛山富士高砂酒造(静岡)2026
金賞(純米酒部門)桂月 吟之夢 純米吟醸酒55土佐酒造(高知)2026

(「わかむすめ 燕子花」は、同じ酒がIWC2024でもリージョナル・トロフィーを受けています。)

IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)とは

IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)は、イギリス・ロンドンで開かれる、世界最大級のワイン品評会です。そのなかに2007年から日本酒の審査部門(SAKE部門)が設けられ、いまでは世界中から千数百点の日本酒が集まる、海外で最も影響力のある日本酒コンクールのひとつになっています。こちらもすべての酒を銘柄を伏せたブラインドで審査します。

IWCの賞は、メダルの序列がわかりやすいのが特徴です。下から、ブロンズ(銅)、シルバー(銀)、ゴールド(金)と上がっていきます。そのうえに、部門と全体の頂点を選ぶ二つの賞があります。

  • メダル:ブロンズ → シルバー → ゴールドの順に上位。
  • トロフィー:ゴールドに選ばれた酒を上級審査団が改めて利き直し、部門ごとに選ぶ頂点の賞。
  • チャンピオン・サケ:すべてのトロフィー受賞酒のなかから選ばれる、SAKE部門全体のその年の最高賞。

序列でいえば、ゴールド → トロフィー(部門の頂点) → チャンピオン・サケ(全体最高位)という関係になります。日本酒は純米大吟醸酒部門をはじめ、純米酒・吟醸酒・スパークリング・熟成酒など、酒の種類ごとに部門が分かれています。「純米大吟醸部門でゴールド」「チャンピオン・サケ」といった表現を見たときは、この序列のどこに位置するのかを思い浮かべると分かりやすくなります。

代表的な受賞酒

評価の高い順(全体最高位 → 上位メダル)に並べています。

賞(ランク・部門)銘柄蔵元(産地)受賞年
チャンピオン・サケ(全体最高位)十六代九郎右衛門 純米吟醸 美山錦湯川酒造店(長野)2023
チャンピオン・サケ(全体最高位)淡路島・都美人 太陽都美人酒造(兵庫)2024
チャンピオン・サケ(全体最高位)七賢 白心 純米大吟醸山梨銘醸(山梨)2025
ゴールド(純米大吟醸酒部門)天明 純米大吟醸 金色の天明曙酒造(福島)2025
シルバー(純米大吟醸部門)竹葉 純米大吟醸 百万石乃白数馬酒造(石川)2024・2025

全国新酒鑑評会とは

全国新酒鑑評会は、その年に造られた新酒を全国規模で審査する、日本で最も歴史のある清酒の鑑評会です。独立行政法人 酒類総合研究所と日本酒造組合中央会が共催し、明治44年(1911年)の第1回以来続いてきました。令和7酒造年度(2025年度)で114回目を数え、いまも全国規模で開かれる唯一の清酒の鑑評会です。海外のコンクールが「料理と楽しむ」視点で評価するのに対し、こちらは酒の品質と造りの技術そのものを評価する、造り手にとっての場という性格を持ちます。

審査は、専門家によるきき酒(官能審査)で行われます。予審と決審の二段階で審査され、その結果として賞が決まります。

  • 入賞:予審を通過し、決審で一定の評価を得た酒。
  • 金賞:入賞酒のうち、特に成績が優秀と認められた酒。

金賞が最上位の区分で、全体で1点だけを選ぶ最高賞のような仕組みはありません。金賞は毎年200点前後の酒に贈られます(令和7酒造年度は出品793点のうち、入賞411点、うち金賞217点)。多くの蔵が金賞を目標に技術を競う、造り手にとっての晴れ舞台です。

代表的な受賞酒

最上位の金賞から、令和6酒造年度(2024年度)の例を挙げます。

銘柄蔵元(産地)受賞年度
金賞浦霞佐浦(宮城)令和6酒造年度
金賞廣戸川松崎酒造(福島)令和6酒造年度
金賞初亀初亀醸造(静岡)令和6酒造年度
金賞臥龍梅三和酒造(静岡)令和6酒造年度

SAKE COMPETITIONとは

SAKE COMPETITIONは、実際に市場で売られている「市販酒」を対象にした日本酒の品評会です。2019年の第8回まで開かれたのち、新型コロナウイルスの影響で2020〜2022年は中止となり、2023年に再開。2024年・2025年と続き、2026年の開催も決まっています。手に入れて飲める酒を評価する点が、この品評会の特徴です。

審査は、完全なブラインドで行われます。銘柄を伏せるだけでなく、並べる順番もコンピューターでシャッフルするなど、条件をそろえた厳正な環境で利き分けられます。出品酒は、純米酒・純米吟醸・純米大吟醸・Super Premium・モダンナチュラルといった部門に分かれます(部門構成は回によって変わります)。

賞は、各部門でGOLDとSILVERに分かれ、GOLDのなかは第1位から順位がつきます。

  • SILVER:各部門の上位に贈られる賞。
  • GOLD:SILVERのさらに上位。部門ごとに第1位から順位が示されます。
  • 部門第1位:各部門の頂点。

全体で1点だけを選ぶ総合最高賞のような仕組みはなく、部門ごとの第1位が最上位にあたります(別に、蔵元をたたえる「最優秀蔵元賞」があります)。

代表的な受賞酒

各部門の第1位(GOLD)から、2024年の例を挙げます。

賞(部門・順位)銘柄蔵元受賞年
純米酒部門 第1位(GOLD)富久長「新橋の男達(おやじ)の酒」今田酒造本店2024
純米吟醸部門 第1位(GOLD)楽器正宗「愛山 中取り」大木代吉本店2024
純米大吟醸部門 第1位(GOLD)山和「Shizukudori」山和酒造店2024
Super Premium部門 第1位(GOLD)富士大観「秘蔵酒 限定大吟醸」森島酒造2024

4つのコンクールを一覧で

ここまでの内容を、一覧にまとめておきます。賞の序列は、左から右へ高くなる順に並べています。

コンクール開催地主催おもな対象審査方式賞の序列
Kura Masterフランス・パリAssociation de Kura Master日本酒・本格焼酎ブラインド・100点満点金賞 → プラチナ賞 → 審査員賞(部門トップ) → プレジデント賞(全体最高位)
IWCイギリス・ロンドンInternational Wine Challengeワイン(SAKE部門で日本酒)ブラインドブロンズ → シルバー → ゴールド → トロフィー(部門の頂点) → チャンピオン・サケ(全体最高位)
全国新酒鑑評会日本(全国規模)酒類総合研究所・日本酒造組合中央会その年の新酒(清酒)きき酒(官能審査)入賞 → 金賞(単独の最高賞はなし)
SAKE COMPETITION日本市販の清酒完全ブラインドSILVER → GOLD → 部門第1位(単独の総合最高賞はなし)

金賞やゴールドという呼び名はいくつかのコンクールで共通しますが、それが最上位のところもあれば(全国新酒鑑評会)、その上にプラチナ賞やチャンピオン・サケ、部門第1位といった段階が続くところもあります。海外のプロが料理と合わせて選ぶ賞、国内で造りの技術を競う賞、市販酒を利き分ける賞――評価の視点も、コンクールごとにさまざまです。

賞は、その一本の背景や実力を知るためのひとつの手がかりです。ボトルやお店で気になる賞の名前を見かけたら、それがどのコンクールの、どの段階の賞なのかを思い浮かべてみると、選ぶときの参考になります。飲んだ夜のひとことはマイドリのアプリに、自分なりのちょうどよい一杯の話は適酒とはに。

出典:Kura Master 公式サイト(開催概要・主催・審査方法・ブラインド審査・採点基準〈金賞80〜92点/プラチナ賞93〜100点〉・審査員賞/プレジデント賞の位置づけ・部門構成・第10回〈2026年〉の開催日程、およびプレジデント賞発表ページ〈2024年 小西酒造「超特撰白雪 伊丹諸白 大吟醸」・2025年 八百新酒造「雁木 純米大吟醸 鶺鴒」〉)、International Wine Challenge 公式サイト(概要・SAKE部門・ブラインド審査・メダルの序列〈ブロンズ/シルバー/ゴールド〉・トロフィー/チャンピオン・サケの位置づけ・部門構成、およびトロフィー結果ページ〈2023年 湯川酒造店「十六代九郎右衛門 純米吟醸 美山錦」・2025年 山梨銘醸「七賢 白心」のチャンピオン・サケ〉)、酒類総合研究所・日本酒造組合中央会(全国新酒鑑評会の主催・共催・沿革〈明治44年 第1回・令和7酒造年度で114回目〉・目的・きき酒による審査・入賞/金賞の区分と点数〈令和6・令和7酒造年度〉・令和6酒造年度 金賞の入賞酒目録〈浦霞・廣戸川・初亀・臥龍梅〉)、SAKE COMPETITION 公式サイト(市販酒対象・完全ブラインド審査・開催状況〈2020〜2022年中止・2023年再開・2026年開催決定〉・部門構成・GOLD/SILVER・部門第1位・最優秀蔵元賞、および2024年 各部門第1位〈富久長・楽器正宗・山和・富士大観〉)。各銘酒の受賞内容は各蔵元公式の情報を含む。※IWC SAKE部門固有の点数レンジ、SAKE COMPETITIONの主催団体名・各受賞蔵の所在地は、公式サイト上で確認できなかったため本記事では扱っていません。

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