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ご当地の銘酒 2026.07.06

千福 山田錦 純米大吟醸35 ― Kura Master 2026、純米大吟醸酒部門1位。戦艦大和のふるさと・呉で醸す、海軍御用達の酒。

広島県呉市の三宅本店がつくる「千福(せんぷく)」。その最上級の一本「山田錦 純米大吟醸35」が、フランスの日本酒品評会Kura Master 2026の純米大吟醸酒(1-35%)部門で、部門トップにあたる審査員賞を受けました(2026年5月11日発表)。安政3年(1856年)創業、かつて海軍御用達として全国の鎮守府に納められ、戦艦大和のふるさと・軍港の街で育った蔵の一本を紹介します。

戦艦大和が生まれた軍港の街に、170年近く続く酒蔵がある――そう聞くと、その酒がどんな道のりを歩んできたのか、少し気になってきます。広島県呉市の三宅本店がつくる「千福 山田錦 純米大吟醸35」は、まさにその街で育った一本です。その最上級の純米大吟醸が、フランスの日本酒品評会Kura Master 2026で、純米大吟醸酒(1-35%)部門のトップに選ばれました。

Kura Master 2026、純米大吟醸酒部門のトップに

今回の主役「千福 山田錦 純米大吟醸35」は、2026年5月11日に発表されたKura Master 2026の純米大吟醸酒(1-35%)部門で、部門の最高位にあたる審査員賞を受けました。プラチナ賞に選ばれた酒のなかから、部門ごとに1点だけ選ばれる賞です。Kura Masterは、フランスで開かれる日本酒と本格焼酎の品評会で、フランス人のソムリエやレストラン関係者が、ラベルを伏せたブラインドの状態で、食と飲み物の相性を重視しながら一本一本を利き分けます。その舞台の、もっともよく米を磨いた純米大吟醸を競う部門で、呉の一本が頂点に立った、ということになります。(金賞・プラチナ賞・審査員賞といったKura Masterの賞の序列は、用語解説(日本酒編)にまとめています。)

2026年は、Kura Masterがちょうど10回目を迎えた節目の年でした。三宅本店はこの回、純米大吟醸酒(1-35%)部門に加えて、熟成酒部門でも「千福 神力生酛純米無濾過原酒85」で審査員賞を受けています。ひとつの蔵が、性格の異なる二つの部門でそろって部門トップに選ばれた、実りの多い年でした。

千福の評価は、これ一度きりのものではありません。この「山田錦 純米大吟醸35」は、Kura Masterの純米大吟醸酒部門で、2021年・2022年・2023年と金賞を重ね、2020年にはプラチナ賞を受けています。近年ほぼ毎年、この舞台で名を呼ばれ続けてきた常連の一本が、10周年の回で部門トップに立った、という流れです。

どんな酒か ― 山田錦を35%まで磨いた純米大吟醸

千福 山田錦 純米大吟醸35は、その名のとおり、酒米の最高峰とされる山田錦を100%使い、35%まで磨き上げた純米大吟醸です。米の外側を6割以上削り、中心の澄んだ部分だけで醸す、蔵の最上級にあたる一本です。使う米は兵庫県産の山田錦。よく磨いた米と呉の蔵の技が、この一杯に注がれています。

どんな香りと味か

味わいについては、独自の言葉で飾らず、つくり手と利き手、評価の軸の声をそのまま並べてみます。

三宅本店の公式オンラインショップでは、この酒を「澄んだ香りと柔らかな味わい、後味のキレが特徴」と表現し、「冷やしても常温でも」楽しめる一本として紹介しています。「古都・広島の酒蔵が醸し出す山田錦の芳醇な香りと、深い味わい」という言葉も添えられています。

日本酒情報サイトSakenomyでは、「果実を想わせる深く華やかな香りと、やわらかな口当たり、上品な甘み・キレのよい後口」と紹介されています。華やかな香り、やわらかな口当たり、そして後味のキレ――蔵元とメディアの言葉は、そろって同じ方向を指しています。

この酒が選ばれたKura Masterの純米大吟醸酒(1-35%)部門は、もっともよく米を磨いた純米大吟醸を、フランスの利き手が料理と合わせる視点でブラインド評価する舞台です。上品な甘みとやわらかな口当たり、そして後味のキレという印象は、食卓に寄り添う一本という部門トップの文脈と、自然に重なります。

戦艦大和のふるさと・呉と、170年の蔵

千福を醸す三宅本店は、安政3年(1856年)の創業。屋号を地名にちなんで「河内屋」と称し、はじめは味醂や焼酎、白酒をつくる蔵として呉の地で歩みはじめました。清酒を醸すようになったのは1902年(明治35年)から。この前後に呉市が市制を敷き、翌1903年には呉海軍工廠が開かれるという、街が大きく動く時期にあたります。造船と海軍の街として発展していく呉とともに、蔵も育っていきました。

千福の名を広く知らしめたのは、海軍との縁でした。1920年、蔵の酒を積んだ練習艦「浅間」が遠洋航海に出ます。220日を超える長い航海のあいだ、赤道を何度も越えても酒の質は変わらなかった――そう認められたことをきっかけに、千福はやがて全国の鎮守府に納められる、海軍御用達の酒となっていきました。1940年には、この街の海軍工廠で生まれた戦艦大和にも納められています。長い船旅にも耐える確かなつくりが、軍港の街の酒を全国へと運んでいったのです。

「千福」という酒名にも、この蔵らしい物語があります。母の「フク」と妻の「千登(ちと)」――蔵の初代が、身近な女性ふたりの名から一字ずつを取って名づけたと伝えられます(1916年に商標登録)。功をたたえられることの少なかった女性への感謝を、酒の名に込めたのだといいます。海軍御用達という勇ましい歴史の裏に、こんなにやわらかな由来があります。

呉は、いまも戦艦大和のふるさととして知られる街です。その土地の記憶を背負いながら、170年近くを醸し続けてきた蔵の最上級の一本が、フランスの舞台で部門トップに立った。受賞の一杯を、街の歴史ごと味わってみるのも面白いはずです。

手に入れるには

気になった方は、まずつくり手である三宅本店の公式サイトをのぞいてみてください。呉の街と千福の歩みが、ブランドの物語として紹介されています。

購入は、蔵元の公式オンラインショップから。この「山田錦 純米大吟醸35」の720mlが取り扱われています。価格は取扱店の表示で720ml税込5,500円ほど(在庫・価格は各店の表示時点。人気のため品切れのこともあります)。

どんな一杯でも、自分にとってちょうどよく楽しめれば、それがいちばんです。飲んだ感想をマイドリのアプリにひとこと残しておくと、次の一本を選ぶときの手がかりになります。お酒との付き合い方そのものが気になったら、適酒とはものぞいてみてください。

千福

三宅本店 ・ 720ml

出典:三宅本店「千福」公式サイト(会社概要の沿革/創業年・屋号「河内屋」・清酒醸造着手・練習艦「浅間」の遠洋航海の記述、ブランドページの海軍御用達の経緯・戦艦大和への納入・酒名「千福」の由来・商標登録の記述)、三宅本店 公式オンラインショップ掲載の商品情報(山田錦100%・精米歩合35%・蔵元の味わい紹介文・容量)、日本酒情報サイトSakenomy 掲載の紹介文(味わいのコメント)、Kura Master 2026 公式(純米大吟醸酒〈1-35%〉部門 審査員賞・熟成酒部門 審査員賞・過去年の受賞歴・審査の枠組み・第10回の開催概要)、取扱店オンラインショップ掲載の価格。呉市の市制施行・呉海軍工廠の開設年は公開情報に基づく。

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