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ご当地の銘酒 2026.07.02

桂月 吟之夢 純米吟醸酒55 ― Kura Master 2026金賞。高知・嶺北の棚田が育てた、土地そのものの純米吟醸。

高知県土佐町の土佐酒造がつくる「桂月(けいげつ)」。その定番のひとつ、吟之夢 純米吟醸酒55が、フランスの日本酒品評会Kura Master 2026の純米酒(51-65%)部門で金賞を受けました(2026年5月11日発表)。標高600mまでの棚田で育つ地元の酒米「吟の夢」だけで醸す、土地の恵みがそのまま一杯になったような酒です。

四国のほぼ真ん中、高知県土佐郡土佐町に蔵を構える土佐酒造。創業は明治10年(1877年)。四国の水瓶と呼ばれる早明浦(さめうら)湖のほとり、吉野川の源流域という静かな山あいで、147年ものあいだ酒を醸してきた蔵です。銘柄名の「桂月」は、月の名所として知られる桂浜と、酒と旅を愛した土佐の文人・大町桂月(1869-1925)にちなみます。

Kura Master 2026、純米酒部門で金賞

今回の主役「桂月 吟之夢 純米吟醸酒55」は、2026年5月11日に発表されたKura Master 2026の純米酒(51-65%)部門で金賞を受けました。Kura Masterは、フランスで開かれる日本酒と本格焼酎の品評会です。フランス人のソムリエやレストラン関係者が、ラベルを伏せたブラインドの状態で、料理と楽しむ視点から一本一本を利き分けます。その舞台で、高知県土佐町の純米吟醸が金賞に選ばれました。(金賞・プラチナ賞・審査員賞といったKura Masterの賞の序列は、用語解説(日本酒編)にまとめています。)

この酒の評価は、一度きりのものではありません。蔵の記録をたどると、Kura Master 2018でプラチナ賞、2021で金賞、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2019と2023でシルバーメダル、さらに「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」でも複数年で金賞と、国内外の品評会で受賞を重ねてきた一本です。年をまたいで評価が続いていることが、この酒の安定した実力を物語っています。

標高600mの棚田が育てる「吟の夢」

この酒を語るうえで外せないのが、原料米「吟の夢」です。高知県が生んだ酒造好適米で、土佐酒造はこれを地元・嶺北(れいほく)地方産にこだわって使っています。

米が育つのは、土佐町相川の棚田です。蔵は、この土地をこう紹介しています。山々の斜面に広がる棚田で古来より米作りが続き、標高は350〜600m、昼夜の温度差は15℃。美味しい水と空気に恵まれたこの地の米で、酒を醸す――と。標高が高く、昼と夜の寒暖差が大きい山あいは、米がゆっくりと実る土地です。仕込みに使う水も、この山が育てた軟水。米も水も、同じ土地からきています。

この一本は、嶺北という土地そのものを写しとった酒だといえます。棚田の景色を思い浮かべながら開けると、味の受け取り方も少し変わるかもしれません。

普通酒の蔵が、特定名称酒へ

土佐酒造は、長いあいだ地元で親しまれる普通酒を中心に造ってきた蔵でした。流れが変わったのは、平成27年(2015年)の代表交代です。ソフトウェア会社の経営という異色の経歴を持つ松本宗己さんが社長に就き、米にも製法にもこだわり抜いた酒造りへと舵を切りました。地元向けの酒から、世界に問う酒へ。その翌年には、世界最大規模の品評会IWCの酒部門で最高賞を射止めています。

普通酒を得意としてきた蔵が、地元の棚田で育てた酒米だけで特定名称酒を醸す。桂月 吟之夢 純米吟醸酒55は、その転換の先にある、いまの土佐酒造を象徴する一本です。

どんな香りと味か

味わいについては、蔵が公式サイトに載せているソムリエの評を手がかりにするのがよさそうです。ホテルニューオータニのエグゼクティブシェフソムリエ・谷宣英さんは、この酒を「赤いリンゴのような穏やかな香り。熟したトロピカルフルーツ、ストーンフルーツの香りの中に、米の香りもしっかりと感じられる。さらっと口の中で広がり、ドライで後半に苦味・酸味が穏やかで丸くふくよかな印象」と表現しています。

取扱店の紹介でも、「スッキリ&フルーティな味わいが魅力的」「比較的スッキリとしたフルーティなタイプ」と、飲み口の軽やかさに触れられています。

そして受賞したのは、Kura Masterの純米酒部門。料理と合わせて楽しむ視点でフランスの利き手が選ぶ賞です。フルーティで穏やか、後味はドライという評は、食卓に寄り添う一本という金賞の文脈とも自然に重なります。三つの声がそろって、香りは華やかすぎず、口当たりは軽快、という方向を指しています。

手に入れるには

気になった方は、まず土佐酒造の公式サイトをのぞいてみてください。価格は720mlで1,650円、1.8Lで3,300円(いずれも税抜)。受賞酒でありながら、日常の食卓に置きやすい価格帯で、通常販売されています。まずは720mlから試して、気に入ったら一升瓶へ、という選び方もしやすい一本です。

受賞歴に惹かれて選ぶのもいいですし、高知・嶺北の棚田ごと味わうつもりで開けるのもいい。どんな一杯でも、自分にとってちょうどよく楽しめれば、それがいちばんです。飲んだ感想をマイドリのアプリにひとこと残しておくと、次の一本を選ぶときの手がかりになります。お酒との付き合い方そのものが気になったら、適酒とはものぞいてみてください。

桂月

土佐酒造 ・ 720ml

出典:土佐酒造「桂月」公式サイト(商品情報・価格・原料米・受賞歴・Kura Master 2026受賞告知・銘柄の由来・酒造りの風景/棚田と土地の記述・谷宣英ソムリエのテイスティングコメント・沿革)、Kura Master 公式(受賞部門・審査の枠組み)、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)SAKE部門、松本宗己社長のインタビュー記事(普通酒から特定名称酒への転換の経緯)、取扱店オンラインショップ掲載の商品紹介

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