焼酎と泡盛は、日本で生まれた蒸留酒です。焼酎は九州を中心に、芋・麦・米・黒糖といった原料ごとに造り分けられ、泡盛は沖縄で米を原料に古くから造られてきました。そのボトルに貼られた「BEST OF THE BEST」「プラチナ賞」「Gold Outstanding」といった表示の多くは、国内外で開かれる品評会(コンクール)で与えられた評価です。
かつては国内で飲まれる酒という印象の強かった焼酎・泡盛も、いまでは海外のコンクールで評価される場が増えています。国内の専門品評会(TWSC)に始まり、フランスでの評価(Kura Master)、世界最大級の横断品評会(IWSC)へと、評価の場は国内から海外へ広がっています。同じ「賞」でも、対象や審査するのが誰か、賞の呼び名や序列はコンクールごとに違います。
TWSC 焼酎・泡盛部門
TWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)は、ウイスキー文化研究所(東京)が主催する、国内の酒類品評会です。2019年に始まり、翌2020年に焼酎部門が新設されました。国産のウイスキーやスピリッツと並んで、焼酎・泡盛を国内の専門家が評価する場という性格を持ちます。
審査は、銘柄を伏せたブラインドで行われます。特徴は、原料のカテゴリーごとに分けて審査する点です。芋・麦・米・黒糖・泡盛といった原料区分でグループを分け(長期熟成の古酒はさらに別枠)、それぞれのなかで評価します。原料の個性が異なる焼酎・泡盛を、同じ土俵で比べすぎないための仕組みです。
賞は、下から銅賞・銀賞・金賞・最高金賞と上がり、そのさらに上に、各回の頂点を選ぶ特別賞が置かれています。
- メダル:銅賞 → 銀賞 → 金賞 → 最高金賞の順に上位。
- BEST OF THE BEST:最高金賞のなかから選ばれる、その回の頂点。原料カテゴリーごとに選ばれます。
代表的な受賞酒
各カテゴリーの頂点にあたる、2025年のBEST OF THE BESTから、芋・麦・泡盛の3本を挙げます。
| 賞(原料カテゴリー) | 銘柄 | 生産者(産地) | 受賞年 |
|---|---|---|---|
| BEST OF THE BEST(芋) | 天使の誘惑 | 西酒造(鹿児島) | 2025 |
| BEST OF THE BEST(麦) | 麦汁原酒44度 | 豊永酒造(熊本) | 2025 |
| BEST OF THE BEST(泡盛) | 海乃邦 15年貯蔵古酒 | 沖縄県酒造協同組合(沖縄) | 2025 |
Kura Master 本格焼酎・泡盛コンクール
Kura Masterは、フランス・パリで開かれる、本格焼酎・泡盛のコンクールです。主催はAssociation de Kura Master。フランス人の酒類専門家が審査員を務め、ソムリエやレストラン関係者といった、酒の売り手・出し手のプロたちが、ラベルを伏せたブラインドで一本一本を利き分けます。同じ主催者が開くKura Masterの日本酒コンクールの姉妹企画にあたり、海外で本格焼酎・泡盛を評価する場になっています。
出品酒は原料や酒種によっていくつもの部門に分かれ、賞は点数によるメダルと、その上の頂点を選ぶ賞に分かれています。
- メダル:金賞 → プラチナ賞の順に上位。
- 審査員賞:各部門で選ばれる、部門の最優秀。
- プレジデント賞:全部門の頂点にあたる、その回のただ1点。
代表的な受賞酒
全部門の頂点であるプレジデント賞と、泡盛部門の上位メダルから、2025年の例を挙げます。
| 賞(部門) | 銘柄 | 生産者(産地) | 受賞年 |
|---|---|---|---|
| プレジデント賞(全部門の頂点・黒糖焼酎) | 浜千鳥乃詩 ゴールド | 奄美大島酒造(鹿児島・奄美) | 2025 |
| プラチナ賞(泡盛部門) | 琉球泡盛 多幸山25度 | 咲元酒造(沖縄) | 2025 |
IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)
IWSC(International Wine & Spirit Competition)は、イギリス・ロンドンで開かれる、ワインとスピリッツを横断する世界最大級の品評会です。1969年に始まり、いまではウイスキーやジンと並んで焼酎・泡盛の部門も持ち、世界の蒸留酒と同じ舞台で評価されます。
賞は、メダルの序列がわかりやすいのが特徴です。採点は100点法で、点数によってメダルが決まり、その上にトロフィーが置かれます。
- メダル:Bronze(85〜89点)→ Silver(90〜94点)→ Gold(95〜97点)→ Gold Outstanding(98〜100点)の順に上位。
- トロフィー:高得点の酒を上級審査で選び直す、メダルの上位に位置づけられる賞。造り手をたたえるProducer Trophyもここに含まれます。
代表的な受賞酒
造り手をたたえるトロフィーと、メダル最高位のGold Outstandingから、2025年の例を挙げます。いずれも沖縄・忠孝酒造の受賞です。
| 賞 | 銘柄 | 生産者(産地) | 受賞年 |
|---|---|---|---|
| Shochu Producer Trophy(造り手トロフィー) | ― | 忠孝酒造(Chuko Awamori Distillery・沖縄) | 2025 |
| Gold Outstanding(泡盛・99点) | 月の蒸溜所(Moon Distillery Awamori Shochu 43度) | 忠孝酒造(沖縄) | 2025 |
3つのコンクールを一覧で
ここまでの内容を、一覧にまとめておきます。国内から世界へと、評価の場が広がっていく並びです。
| コンクール | 開催地・主催 | 位置づけ | 審査 | 賞の序列(高い順) |
|---|---|---|---|---|
| TWSC 焼酎・泡盛部門 | 東京(ウイスキー文化研究所) | 国内の専門品評会 | 国内の専門家によるブラインド(原料カテゴリー別) | 金賞 → 最高金賞 → BEST OF THE BEST |
| Kura Master 本格焼酎・泡盛コンクール | フランス・パリ(Association de Kura Master) | フランスでの評価(日本酒コンクールの姉妹企画) | フランス人の酒類専門家によるブラインド | プラチナ賞 → 審査員賞 → プレジデント賞 |
| IWSC | イギリス・ロンドン | 世界最大級の横断品評会 | ブラインド・100点法 | Gold → Gold Outstanding → トロフィー |
金賞やゴールドという呼び名はいくつかのコンクールで共通しますが、その上の呼び名――BEST OF THE BEST、プレジデント賞、トロフィー――は、コンクールごとに違います。国内で原料ごとに評価する場、フランスのプロが利き分ける場、世界の蒸留酒と横並びで競う場と、評価の視点もそれぞれです。
賞は、その一本の背景や実力を知るためのひとつの手がかりです。その賞がどのコンクールの、どの段階の評価なのかがわかると、一本の見え方が変わってきます。飲んだ夜のひとことはマイドリのアプリに、自分なりのちょうどよい一杯の話は適酒とはに。
出典:TWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)公式・ウイスキー文化研究所発表(主催・開催沿革〈2019年開始・2020年 焼酎部門新設〉・ブラインド審査・原料カテゴリー別審査・賞の序列〈銅賞/銀賞/金賞/最高金賞/BEST OF THE BEST〉、および2025年 焼酎・泡盛部門 BEST OF THE BEST〈芋:西酒造「天使の誘惑」・麦:豊永酒造「麦汁原酒44度」・泡盛:沖縄県酒造協同組合「海乃邦 15年貯蔵古酒」〉)、Kura Master 公式サイト(主催・フランス人専門家によるブラインド審査・本格焼酎・泡盛コンクールの位置づけ・賞の序列〈金賞/プラチナ賞/審査員賞/プレジデント賞〉、および2025年 受賞酒〈プレジデント賞:奄美大島酒造「浜千鳥乃詩 ゴールド」・泡盛部門プラチナ賞:咲元酒造「琉球泡盛 多幸山25度」〉)、International Wine & Spirit Competition 公式(概要・ブラインド審査・100点法・メダルの序列〈Bronze 85〜89/Silver 90〜94/Gold 95〜97/Gold Outstanding 98〜100点〉・トロフィーの位置づけ、および2025年 Shochu Producer Trophy〈忠孝酒造〉・Gold Outstanding 99点の泡盛「月の蒸溜所」〈忠孝酒造〉)。各銘柄の受賞内容は各蔵元・生産者公式の情報を含む。※各コンクールの一部の点数しきい値・部門構成など、公式サイト上で数値・名称が確認できなかった項目は本記事では扱っていません。