茨城県那珂(なか)市に蔵を構える木内酒造。創業は1823年(文政6年)、木内儀兵衛(きうち・ぎへえ)がこの地で清酒づくりを始めたのが始まりです。いまも清酒「菊盛(きくざかり)」を醸す一方で、広く名を知られているのがクラフトビール「常陸野ネストビール」です。クラフトビールとは、小規模な造り手が個性を競うビールのこと。フクロウのマークで親しまれるこのシリーズの一本が、今回の主役「さくらスタウト」です。
ジャパン・グレートビア・アワーズで、金賞
「さくらスタウト」は、ジャパン・グレートビア・アワーズ2025で金賞に選ばれました。この賞を主催するのは、日本地ビール協会(クラフトビア アソシエーション/CBA)です。国内で醸造されるビールを対象に、出品酒どうしを比べて順位を付けるのではなく、一本ずつをビアスタイル(ビールの様式)の基準に照らして評価する、絶対評価をとっています。基準を満たせば受賞となり、受賞数に上限はありません。木内酒造は2025年3月に、この受賞を発表しています。(金・銀・銅といったジャパン・グレートビア・アワーズの賞の並びは、用語解説(ビール編)にまとめています。)
酒蔵からクラフトビール、そしてウイスキーへ
木内酒造の歩みは、少しずつ手がける酒を広げてきた歴史です。1823年の創業から清酒を醸してきた蔵が、1996年に常陸野ネストビールの製造を始めました。さらに2016年にはウイスキーづくりに乗り出し、2020年には茨城県石岡(いしおか)市に「八郷(やさと)蒸溜所」を新設しています。清酒「菊盛」、クラフトビール「常陸野ネストビール」、そしてジャパニーズウイスキー「日の丸ウイスキー」――ひとつの造り手が、三つの酒をこの茨城で手がけています。
「さくらスタウト」は、その広がりが一杯のなかで交わった一本です。スタウトは、深く焙煎した麦芽を使った黒いビール。そこに木内酒造は、自社の日の丸ウイスキーを熟成させるのに使った桜樽を重ねました。ウイスキーを寝かせた樽でビールをもう一度寝かせる――清酒からビール、ウイスキーへと広げてきた蔵だからこそできる仕立てです。
どんな香りと味か
木内酒造は「さくらスタウト」を、日の丸ウイスキーの熟成に用いた桜樽で熟成させた黒ビールだと説明しています。味わいについては「厳選した麦芽の芳ばしい香りとモルティな風味、樽熟成によるまろやかな味わい」と紹介しています。
この一本は、ジャパン・グレートビア・アワーズ2025で金賞に選ばれています。基準を満たした証としての金賞です(ジャパン・グレートビア・アワーズは銘柄ごとの講評文を公表していないため、審査員の言葉としての味の描写はここでは載せません)。焙煎した麦芽の黒ビールに桜樽の熟成が重なる、というつくりが、蔵の言う「まろやかな味わい」の背景にあります。
手に入れるには
気になった方は、まずつくり手である木内酒造の常陸野ネストビール ブランドサイトをのぞいてみてください。フクロウのマークのビールがどんな考えでつくられているかが伝わってきます。購入は、蔵の公式オンラインショップから。桜樽で熟成させる特別な一本だけに、時期によっては品切れになっていることがあります(在庫は各店の表示時点)。公式で見つからないときは、正規の取扱店のオンラインショップでも扱われています。
似た一本
同じスタウトなら、大阪府箕面市の箕面ビールがつくるMinoh Beer Stoutも取り上げています。
受賞歴に惹かれて選ぶのもいいですし、清酒・ビール・ウイスキーを手がける茨城の造り手の仕事ごと味わうつもりで開けるのもいい。ウイスキーの樽を通った黒ビールなので、香りと余韻をゆっくり追いながら、少しずつ付き合うのに向いた一本です。飲んだ感想をマイドリのアプリにひとこと残しておくと、次の一本を選ぶときの手がかりになります。お酒との付き合い方そのものが気になったら、適酒とはものぞいてみてください。
出典:木内酒造 公式サイト・会社概要(創業年〈1823年=文政6年・木内儀兵衛〉・本社所在地〈茨城県那珂市南酒出808〉・常陸野ネストビールの製造開始〈1996年〉・ウイスキー製造開始〈2016年〉・八郷蒸溜所〈茨城県石岡市・2020年新設〉・代表銘柄〈清酒「菊盛」・常陸野ネストビール・日の丸ウイスキー〉)、木内酒造 プレスリリース〈PR TIMES〉(ジャパン・グレートビア・アワーズ2025 金賞受賞〈さくらスタウト〉・2025年3月の発表・日の丸ウイスキーの熟成に用いた桜樽で熟成させた黒ビール・味わいの説明文〈厳選した麦芽の芳ばしい香りとモルティな風味、樽熟成によるまろやかな味わい〉)、日本地ビール協会(クラフトビア アソシエーション/CBA)公式〈beertaster.org〉ジャパン・グレートビア・アワーズ2025 入賞発表(主催・国内で醸造されるビールに特化・一本ずつの絶対評価・受賞数に上限なし・賞の序列〈銅/銀/金〉)